「母もの想う秋」

師範代    平尾 裕子

 2006年10月08日

 平尾です。この度、息子が初段となりました。 我が家での、空手の出会いは息子からです。千葉に住んでいた頃、ジャッキー・チェンに憧れて、空手を習いたいと言い出した息子に、暴力と武道は違う、という事を教えるためにも、きちんと習わせよう、と道場を探しました。

 そして、松濤館の青少年育成教室のような、中学の体育館での稽古に通い始めました。夜7時から、四歳の啓祐に一歳の桃を連れて行って、いつも見ていました。黙想の時に、桃が騒がないように注意されたりもしましたが、いつも、一緒に稽古しているつもりでした。好きで始めたはずなのに、「明日、空手か、行きたくない」って、涙をポロっとこぼした日がありました。私は、全く理解できなかったのですが、ある先輩ママから、真面目できっちりした息子さんなのね、と言われ、私はたまげました!え、このおちゃらけ息子が?そのママいわく、できなくても平気な子は、何も悩まない。ちゃんとやりたいけど、できない、だから泣くのよ。できるようにしてあげればいいのよ。お母さん、しっかり見てあげてね。と。
泣く=弱虫=情けない、ではなかったのです。

 次の稽古から、私も型を覚えるつもりで見て、家で練習できるようにしました。
そして、引越しが決まった時に、先生に言われました。「お母さん、この子は空手に対する情熱が違います。引越しても、どの流派でもいいので、どうか、空手を続けさせてあげて下さい」

 こうして藤沢に越してきて、めぐりあったのが、藤沢道場です。もう9年前ですね。ホームページ有段者の写真には、まだ小学生の彼の写真があります。初段の賞状を手にした彼は、すっかりニキビ面です。

 母親が感慨にふけって、思い出話しをしてしまいましたね。
来月、桃が准初段に合格すれば、史上最強母子三人の誕生です。