「上善は水のごとし」・・・硬軟自在

准師範   宮崎 祐吉

 2007年7月15日

 7月では観測史上「最強」と言われる台風4号が日本列島を通り過ぎました。沖縄や日本各地で水の被害で出ています。水の力は人類にとって脅威です。しかし、水は万物を育み、実りをもたらし、人にとって生きていくために無くてはならないもの。
 今回は老子(中国紀元前の思想家)の言葉から一言。「老子 道経第八章」
 

上善若水。     (上善は水のごとし。)

水善利萬物而不争。 (水は善く万物を利して而も争わず。)

 「上善」とは、理想的な生き方です。空手の理想も水に学ぶ事ができると思います。何よりも、その大いなる力(エネルギー)。緩やかな流れは、人の心さえ癒す力を持っています。速い流れは、硬い岩を砕き大きな岩を運び、金属さえ切断する強い力。そしてその柔軟性。四角な器では四角になり、丸い器では丸くなる。寒い時には硬い氷になり、暖かくなればやわらかく掴むこともできず、熱すると水蒸気となって空に舞う。(固体<−>液体<−>気体)その柔軟さと変化の多彩さ。 

「硬軟自在」とは、上地流空手をあらわす言葉。まさに、水の力と柔軟性は硬軟自在ではありませんか。 

 また水は、人の嫌がる低いところに流れていきます。謙虚な姿で、自分の能力や地位を誇示しません。そして争うことなく全てを包み込んでしまいます。

 上地流空手や武道を修行する者としては、水のように「謙虚」な姿勢で、「硬軟自在」な力を身につけることができるよう励んで行きたいものです。

 おじさん会員の皆さん、水の修業のためとはいえ、夜の素敵なお水の世界で「甘い水」「きれいな水」に誘惑されて、「苦い水」など飲まないように注意しましょう。(笑)
 

 

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