名作銘言

指導員  上地 正昭

 2008年7月20日

  皆様、首都圏大会(少年部)お疲れ様でした。今年から少年部と一般部を別の日に分けての開催となりましたが、少年部 のみであれほど大勢の参加人数が集まった中、法人団体でもない皆さんの運営で、あれだけの大会を成り立たせている ことだけでも素晴らしいことだと思います。

 さて、今回のように大会が終わった後や、昇段昇級審査が終わった後には、達成感や安堵感と共に、それまでに高めていったモチベーションが急に下がったりしますよね。メリハリは大切なので、時には心身ともにオフモードになることも必要ですが、次のスタート時には、また一気に空手意欲を高めたいものですよね。

 ということで、今回は、空手のモチベーションをアップしたり、維持したりする時に役立つ作品を、私の独断と偏見でご紹介したいと思います。決して高尚な 解説本などではなく、オタク的な漫画や映画なので、あらかじめご了承下さい…。

◆漫画「空手バカ一代」
 説明不要のゴッドハンド大山倍達の自叙伝漫画ですね。中学生の頃はノンフィクションだと思って読んでました。山ごもり修行などは幼心にとても憧れました。様々な暴露本や回顧本を読んだ上で、大人になって改めて読むと、さすがに色々と脚色されているなーと感じる部分も多く目に付いたりしますが、空手漫画の金字塔として不変の存在でしょうね。
銘言:「力なき正義は無力なり、正義なき力は暴力なり...
すっかり極真空手を象徴する有名な言葉となっておりますが、語源はフランスの哲学者パスカルが著書「パンセ」にて語った言葉なんですよね。 力とは腕力のことだけでなく、知力、権力、金力、政治力など様々なものを指しますが、少し建設的に『力を得る努力をしない者の言葉に、他人は耳を傾けない』という意味に解釈しています。

◆漫画「四角いジャングル」
 キックボクシング全盛期の昭和50年代を舞台に、当時の有名なキックボクサー達の活躍を漫画化した作品です。特に“熊殺し”ウイリー・ウイリアムスとアントニオ猪木の異種格闘技戦の描画が楽しめます。
銘言:「武器なしの戦争をしたら、タイが最強だ…
タイの子供達が貧困のために幼少からリングに立つというムエタイの過酷な世界と、日本との土壌の違いが描かれており、 当時、中学生ながらタイで生活したら強くなるのかなー、1年ぐらいなら生活してみたいなーなどと妄想してました。

◆漫画「グラップラー刃牙」
 完全な少年マンガですが、地上最強の生物と呼ばれる父親を超えるために、様々な格闘家と戦い成長してゆく青年の話です。とにかく作者の格闘マニア具合が伺える作品で、絵柄も一見グロテスクなのですが、格闘家特有の肉体や動きを強調して描画するのが巧みな作者に脱帽です。似たようなタイトルで続編が何作品かでており現在も連載中のようですが、一作品目の本作が傑作です。 夢枕獏の原作を同じ作者が描いた「餓狼伝」もお薦めです。
銘言@:
人として生まれ男として生まれたからには 誰だって一度は地上最強を志すッ
地上最強など一瞬たりとも夢見たことがないッッ
そんな男は一人としてこの世に存在しないッッ  それが心理だ!!!
ある者は生まれてすぐにッ――――ある者は父親のゲンコツにッ
ある者はガキ大将の腕力にッ    ある者は世界チャンピオンの実力に屈して
それぞれが最強の座をあきらめそれぞれの道を歩んだ
医者 政治家 実業家 漫画家 小説家 パイロット 教師 サラリーマン

多くの男子が、人生で最初に味わうであろう共通の挫折を上手く表現した台詞だなと感じました。空手や格闘技をやってる人は、この願望をどこかまだ諦めきれてないのかもしれませんね。(頭が幼いってことですかね(笑)?)

銘言A:「女、子供でも大の男にケンカで勝ち得る
――――これがそもそもの空手術だ
空手の理想を表現した、なんとも判り易い言葉だと感じました。一般男性であればメジャーリーガーやアメフト選手にもケンカで勝てる術、といったところでしょうか?身体能力の差を凌駕する、そんなレベルまで空手術を追求してみたいものですね。

◆漫画「空手小公子小日向海流」
 体操部のイジメられっ子だった大学生が空手部に転部して、空手の大会やK-1のような大会にデビューするまでに成長する過程を描いた作品。現在も連載中。
銘言@:「実戦で信じられるのは、自分が血ヘド吐いて身に付けたモンだけなんだよ
ありふれたセリフですが、これはしみじみと痛感しますな。大会前1ヶ月ぐらいの付け焼き刃で覚えた技は、本番では通じないどころか、出すことすらできないです。地道な反復練習を続けた技のみが本番で発揮できるんですよね。

銘言A:「打ちのめされた後の顔で 人間の本性がわかるって言うけど・・・・少なくとも羊じゃなさそうね・・・・
これも実感させられる言葉でした。自分よりも強いと感じる相手と対峙した時や相手から強烈な一発をもらった時、そのような場面で弱気になるか?逆にやる気になるか?自分が狼なのか羊なのか?そんな自分の素顔が覗けるのも空手の醍醐味 ですよね。

◆映画「ベストキッド」
 湘南沖空会でもよく話題となる有名な作品なので、説明は省きますが、一作目はとにかく秀作ですよね。特に小舟の上で稽古するシーンは美しいですよね。個人的には三作目の海の見える丘でのミヤギさんとダニエルが二人で形稽古をしているシーンがとても綺麗で好きです。旅先であのような景色の場所に行った時に、気分はすっかりベストキッドでバックミュージックを頭の中で奏でながら形の稽古をやっていた記憶があります。
銘言:「ダニエルさん、空手に大事なのはココ(頭)、そしてココ(心)、帯の色じゃないよ。
なんとも使い勝手の良いセリフです。誰かに段位や帯の色を聞かれた時には、そのまま偉そうに使っちゃいましょう !帯の色や段位はあくまで努力賞のようなもの。実際の技術や指導内容で実力を語れる(感じ取ってもらえる)空手家でありたいですよね。

◆映画「燃えよドラゴン」
 これも、あまりにも有名な作品で、
ブルース・リーのハリウッド進出の最初で最後の作品だったと思います。武術大会やヌンチャクアクションなど見所満載です。
銘言:「考えるな、感じろ 。
この言葉も本作と同じぐらい有名ですよね。映画の冒頭でブルース・リーが弟子に教示した言葉ですが、『集中して五感を使って相手を見ろ 』、という意味にもとれるし、『考えなくても体が動くレベルまで高めろ(稽古しろ)』、という意味にもとれます。
個人的にはアフロ黒人武術家(ジム・ケリー)の「あんた、まるで漫画だね。笑っちゃうね!」という台詞も印象的で好きですね。

 以上、少年会員向け?の作品ばかりでしたが、長く空手を続けていれば、道場に通うモチベーションが上がらないと感じる時もあるかと思いますので、そんな時には、 発奮剤として試しに活用してみてはいかがでしょうか。次の機会にはもっとマニアックなもの をご用意致します。

 さて、今回紹介するホームページは元 空手世界チャンピオンであり、Kー1プロデューサでもある鈴木雄一氏が、母校の東海大学空手部のHPにて紹介している稽古メニューです。競技を中心とした場合の稽古メニューとして参考になります。
http://www.tokai-karate.gr.jp/ob/champ-report1.html
http://www.tokai-karate.gr.jp/ob/champ-report2-1.html
http://www.tokai-karate.gr.jp/ob/champ-report2-2.html
 

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