空手所産

指導員  上地 正昭

 2009年3月1日

 最近、空手の修行を通じて体得した事を振り返る機会がありましたので紹介したいと思います。私が空手を通じて体験的に学んだ事は大きく3つあります。

@費やせる時間は意識の問題
 週一回の稽古から得られる成果は非常に限られていますが、それでも継続すればゆっくりながらも確実に成長してゆけることを学びました。特に重要なことは、時間を作ろうとする意志と時間を有意義に使おうとする意識だと感じています。無い時間の中からでも意志さえあれば日常の中に練習に費やす時間を作る事は意外と可能であり、また限られた時間だからこそ、惰性ではなく集中して頭を使って稽古することが重要であることを再認識しました。この考えに則って、現在ほぼ毎日なんとか反復練習を行うことができています。

A「努力→自信→勝負」のサイクル
 仕事上の講演の中で聞いた言葉ですが、仕事よりも空手を通じて、より実感した言葉です。努力して稽古を積み重ねなければ、強くなった、上手くなったという自信は湧いてこない。また以前よりも上達しているという自信がなければ勝負に臨む気が起きない。そして自信のない状態で無理に勝負に臨んでも良い結果は得られない。そのようなサイクルを、特に大会等に臨むプロセスの中でリアルに体験しています。どちらかというと、成功体験ではなく、失敗体験の方でこのサイクルの重要性を学んだというのが正直なところです。

Bプレッシャーに対する自分の耐性
 ここでのプレッシャーとは大きく2つのことを指しています。ひとつは、試合や審査の3ヶ月前ぐらいから、ヒシヒシと心の片隅にストレスとしてかかってくるプレッシャー。もう一つは試合直前や試合中に、緊張で体が堅くなってしまう類いのプレッシャー。どちらに対しても自分があまり強くないことを再認識しました。仕事の中で、大勢の聴講者の前や役員などの前で発表するよりも、よっぽど空手の方が緊張するのだから不思議なものです。
これらのプレッシャーに対する自分なりの付き合い方として、前者は努力して自信をつける事でしか拭えないということ、後者は腹を括るための自分流のコントロール手法や経験値による耐性強化が必要であるということを感じています。

 以上、己の体一つで勝負に臨む時、冷たい汗を背中に感じながらも、勝敗とは別のところで自分の器と掛け値なしに向き合うことのできる空手を通じて、私は己の嵩を思い知らされつつ諍い続けています。
 

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