「苟日新 日日新 又日新」(日に新た) 大学より

副館長  宮崎 祐吉

 2010年1月1日

新年明けましておめでとうございます。
旅立ちのトラ「寅」年が始まりました。
 

「寅」は本来の読みはいん。春が来て草木が生ずる状態を表しているとされる。
のちに覚えやすくするために動物の虎が割り当てられた。
また「虎」は千里を行って千里を戻ることから、旅立ちに適している。 (ウィキペディアより)

 さて昨年は、いろんなことがおきた「チェンジ」の年でしたね。
アメリカではオバマ大統領の誕生。日本では政権交代。
世界の各地で大きな「チェンジ」があり新たなものが生まれました。
 

スポーツ界でも、初めてこと、新しいことがたくさんありました。
ヤンキース松井秀樹選手が日本人として初めて大リーグワールドシリーズMVP獲得。
ゴルフ界では石川遼プロの初めての10代での賞金王。相撲の世界では横綱白鳳が年間86勝の新記録達成。(何と一年に6場所で4回しか負けていません)
わが沖縄空手では、すべての団体が参加した初めての沖縄伝統空手世界大会開催。
初めてのできごとが起こり、新しい記録がたくさん生まれました。

そして昨年一年を表す漢字も「新」となりました。  

新しい年の旅立ちに向け、中国古典「大学」よりひとこと。
苟日新 日々新 又日新  
(まことに日に新た、日々に新たに、また日に新たなり。)

夏の暴政を倒し、殷王朝を創建した湯王は顔を洗う器にこの文字を刻み、それを見ながら「毎日が新しい日だ。常に前向きに進もう」と覚悟を新たにしていました。
大業を成すには、今の自分にとどまることなく、いつも進歩する決意が必要ということですね。
 

さて、私たち沖空会東京本部も今年は新たなスタートの年です。
沖縄空手界に新しい組織が生まれ、沖空会も生まれ変わろうとしています。
私たちは信頼できる沖縄の先生とともに、新たな旅立ちに加わることになりました。
ただ沖縄空手を純粋に愛し、道を極めていくことに関しては、何も変わりません。
自らを見つめながら、常に前に進む気持ちで取り組んでいけば、道は必ず開けます。
さあ、新しい沖縄上地流唐手の歴史を作っていきましょう。

 

ところで、昨年私の好きなプロ野球選手松井秀樹はついに夢をかなえました。
日本一のジャイアンツの4番という地位にとどまらず、ニューヨークヤンキースでワールドチャンピオンになるという夢を持ち、7年前アメリカへ渡った松井秀樹選手は、3年前試合中に左手首を骨折するという大けがをしました。手首の手術が成功したら、左ひざの手術、そして右ひざの故障、選手生命を脅かす試練が何度も彼を襲います。
そしてついにはチームやファンからも松井不要論まで出るようになりました。
でも彼はそれにもくじけることなく、あきらめることなく、試合に出るため、勝つため、そして夢をかなえるために毎日努力を続け、ワールドシリーズで試合を決めるホームランを打ち、大活躍して、夢であったワールドチャンピオンになっただけでなく、MVPを獲得する快挙を成し遂げたのです。
選手としての能力がどれだけ優れていても、ワールドチャンピオンにはなれません。
また優秀な選手が多くチームが強いほどMVPになれるチャンスは少なくなります。
しかし、彼は一番大事な大舞台で最高のパフォーマンスを発揮できたのです。
その試合では、ゲーム中にすでにスタンドのファンから松井選手に対しMVPコールが起きました。野球をみていて初めて見たシーンでした。もちろん敵将もチームメイトもそしてファンも認める文句なしのMVPでした。

これまでの苦労を考えると、どんなにうれしかったことでしょう。
しかし彼は試合後、夢をかなえMVPとなった自分に対して「何かいいことしたのか?勘違いするなよ」と言葉をかけたそうです。本当に感動しました。
今の自分に満足することなく、あきらめることなく、謙虚に前に進もうと努力する。
「日日新」をまさに実践していたわけですね。
その寅年生まれの彼も今年は新たなチームで、新しい戦いに挑むことになりました。
私たちとおなじ新たな旅立ちです。さらなる夢を追いかけて進みましょう。

 さあ、新年から「日に新たに!」


 

ホーム