上地完文先生を想う

館長  藤本 恵祐

 2011年4月10日

今から102年前、我々が学ぶ上地流唐手は中国・福建省から流祖・上地完文先生 (1948年逝去)によって日本に持ち込まれました。
爾来、和歌山、大阪、兵庫、沖縄 を経て関東や海外に沖縄唐手の一流派として普及発展してきたことは皆さんもご存知 かと思います。

 私は修業を始めて30年余になりますが、実は当初から完文先生のご功績、足跡、技法 に関心があり、少しずつではありますが自分なりに調査を重ねてきました。

何故関心を持っ たのか?それは単純な動機で、「もうお会いすることが出来ない創始者だから」です。 

皆さんは自身の祖父母や曽祖父母の人柄、生き様に関心はありませんか?
もし関心を お持ちだとしたら、それと同じ気持ちと言えばご理解頂けるでしょうか。
とにかく、どんなお人 柄だったのか?、どのような技をお使いだったのか?、なぜ中国に渡って拳法の修業をされ たのか?上地流をどのように発展させようと考えておられたのか?・・・・。
知りたいことは盛 だくさんで尽きることはありません。 

完文先生に直接師事された先生・先輩方にお会いしたり、縁の地を訪ねたり、はたまた 関係書籍を読みまくったりと、自分でも「よくやるよなー」と呆れるくらいに拘って調査してき ました。
ひょっとすると、人はそのような営みを「ライフワーク」と呼ぶのでしょうか。 

そして今回私は、遂に和歌山・隆聖館の皆さまに出会い、完文先生に一気に近づくこと が出来たと確信しました。実際に道場に足を踏み入れた瞬間、完文先生の三戦の息 遣いまで聞こえてくるような錯覚に捉われたくらいです。 

私がそこで何を感じ、何を考えたのかは、先日開催しました完文先生に関する勉強会 で発表させて頂きましたが、とにかく私の唐手修業のなかで一番のエポックメーキングな 出来事となりました。 

神格化された完文先生ではなく、等身大の完文先生を知り、そのご恩に報いるべく、 これからも初心に帰って修業の道を歩まなければならないと、固く心に誓った次第です。

 「温故知新」。 

皆さんとともに完文先生の唐手DNA(熱き想いと技法)をしっかりと受け継ぎ、後世に 正しく伝えたいと願っています。 

(追伸) 

湘南エリアからは富士山が一望できますが、実は和歌山県からも直接見ることができる のをご存知ですか?
富士山を眺望できる日本最遠の地は和歌山県の色川富士見 峠(300km超)なんだそうです。
 隆聖館の皆様と我々修武館のメンバーが富士山を通じてしっかり繋がっているような 気がして、とっても嬉しい限りです。

 

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