『松葉杖の少女』 |
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館長 藤本 恵祐 |
2015年3月1日 |
本日(2/28)は、長女の成人式記念撮影(前撮り)のため家族で横浜市内へ。早めに写真スタジオに到着したため、待ち時間を利用してコーヒーを飲みながら本でも読んでいようかと車でコンビニに向かいました。
その途中の交差点で信号待ちをしていると、松葉杖を2本使って歩行する小学生くらいの少女を見かけました。両足に障害があるようで、歩くのも困難な様子。これは大変そうだなぁと思って眺めていたのですが、その子は背中にリュックを背負いながらも、一生懸命一歩一歩前進します。小さいのに偉いなぁと感心しました。自分が同じ立場だったら、こんなに頑張って歩けるだろうか・・・。
30分ほどコンビニで時間を過ごし、再び写真スタジオに戻る途中、何と先ほどの交差点でその女の子が再び逆方向に向かって信号待ちしているではありませんか。思わず車を停め、その子を自宅まで送ろうかと思いましたが、撮影時間に間に合わないかも知れないので気になりながらもそのまま車を走らせました。
スタジオに戻り、長女の着物姿の撮影を眺めながらも、私の頭からはその女の子の姿が離れません。あの子は将来、長女と同じように和服を着たりして家族やお友達と無事成人のお祝いができるのだろうか・・・。身体に障害を持って生まれたことは、もちろんその子には何の責任もありません。
その子は自分自身の置かれた境遇がいかに困難であれ、けなげに精一杯社会に順応して行こうと努力し、ご家族や周囲の皆さんもそれをきっと温かく見守り、応援されていることでしょう。
私は、健常者の皆さんはこのようなハンディキャップを持つ方に対し、けっして一方的な憐憫の目線や感情を持つのではなく、どうしたら共に助け合って少しでも暮らしやすい社会をつくることができるか、という視点を持つことが大切ではないかと考えています。
本年の公式ホームページ年頭挨拶にも書きましたが、我々湘南修武館会員は自分のために自分を鍛えるのではなく、自分より弱い立場の人、サポートが必要な人、何かを克服しようと努力奮闘している人を進んで応援できる人間になるために、上地流唐手の修行を通じ、心身を錬磨して頂きたいのです。
横浜から帰宅し家族で夕食をとりながら、私は今日街で見かけた少女のことを話題にしました。長女の成人写真を撮影した記念すべきこの日に、その少女のひたむきな姿から、家族でたくさんの学びとと気付き、そして勇気を頂いたことに心から感謝しています。
自分のお子さんがもし、どこかへ出かけた際に「歩くのが辛い」と言ったら、「歩けることに感謝しなさい」、「勉強が嫌だ」と言ったら、「勉強できることに感謝しなさい」、「●●は食べたくない」と言ったら、「食事ができることに感謝しなさい」と諭してください。 もちろん、我々湘南修武館は身体にハンディキャップをお持ちの方でも、唐手に関心がある限り「対等の仲間」として迎え入れ、稽古方法に創意工夫をこらし、共に切磋琢磨して成長を遂げる道場を目指してゆきます。
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