『どこへ行っても上地流』 |
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館長 藤本 恵祐 |
2016年7月15日 |
本格的な夏休みシーズンとなりました。
私は先日、家内と二人でハワイを訪ねました。
せっかく訪ねるのなら、ハワイ在住の上地流唐手家が居ると聞いていましたので交流してみたいと、背中に上地流の型名称がプリントされた東京本部オリジナルTシャツをバッグにしまい込んで成田を出発。
しかしながら、現地に着いてみると観光、ショッピングに伴う移動時間や時差、睡眠不足による疲労、ホテルのWi-Fi環境の悪さなどに阻まれ、なかなか思うようにコンタクトが取れません。
せっかくバカンスに来たんだから、今回は唐手のことは忘れてレジャーに徹しようと心に決め、オリジナルTシャツを着て、真珠湾・アリゾナ記念館ツアーに参加することにしました。ここは日米開戦のきっかけとなった歴史的な場所です。
さて、ツアーでは観光ガイド兼ミニバスドライバーの方に参加者の各ホテルまで送迎して頂けます。私のツアーでは兵庫県出身の福山さんという方が担当で、バスの中や現地でとても充実したガイドをして頂きました。
そんななか、戦艦アリゾナの艦内を歩いていると福山さんから、「Tシャツにプリントされている型の名称からすると、藤本さんは剛柔流かなにかを学ばれているんですか?」と突然聞かれてびっくり。
私が、「上地流です」と答えると、福山さんからは、「私は子供の頃に父親の仕事(米軍属)の関係で沖縄に7年住んでいました。父親の勧めで空手を始めることになり、昭和30年代に浦添に住んでいらっしゃった有名な上地流の先生を訪ねて入門をお願いしたら、“何年沖縄に住む予定なの?”“誰か紹介者(身元保証人)は居るの?”と聞かれ、入門を断念し、結局那覇市内に道場があった小林流と本部御殿手を習うことになったのです。しかし、母子拳で頸動脈を狙ったり、抜手の鍛えすぎで先生の手の中三本指の長さが同じになっていたりで、何て凄い流派なんだ!とずっと一目置いていました。今では誰でも習えるんですか?」との返事。
今では老若男女分け隔てなくオープンに指導していることや当時の技法、鍛錬法とは大きく変わっていることなどを説明しましたが、いやはや何とも、こんな形で上地流に縁のある方と出くわすなんて、神さま、いや上地完文先生完英先生の悪戯なのかも知れませんね。(福山さんが入門を相談された上地流の先生とは、住んでおられた場所からして、私の師匠の師匠の師匠である糸数盛喜先生である可能性が高い〜「実録・上地完文伝」参照)
本当に、どこに行っても「上地流唐手」と縁の途切れない私は、どうやら生涯修行の道から外れることはできそうにありませんね(笑)
*写真A ワイキキビーチで三十六の型を稽古
帰りの機内で隣席の米国人と思しきご婦人と来日の目的などについて雑談していたら、なんとご主人が、2017年3月にNASAが打ち上げを予定している宇宙飛行船の搭乗員で、今筑波のJAXAで訓練中なので会いに行くとのこと!
でも、ご主人に会うまえにハワイでバカンス10日間を過ごし、日本に着いたら成田に荷物の大半を預け、そのまま富士山登山に挑戦するそうで、いかにもアクティブ&バカンス上手なアメリカンレディの姿を見たような気がしました(笑)
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