感動の一言

館長  藤本 恵祐

 2017年10月16日

 

先日車を運転していると、ラジオで「中国残留日本人孤児」の方へのインタビュイー番組を放送していました。 

聞けば、その女性は83歳(インタビュー当時)。第二次世界大戦前に父親の仕事で山形県から当時の満州(中国)に移住し、程なく日本が戦争に負けて、不幸にして現地に取り残されてしまった方でした。 

日本との平和条約を突如破棄して満州に侵入したロシア軍や地元匪賊(強盗集団)に襲われ、多くの日本人が無残な最期を迎えたのですが、この方は10歳で両親や兄弟姉妹5人を自害や殺害で失い、天涯孤独の身になったそうです。 

その後は悲嘆に暮れながらも、何とか生き延びるために中国共産党軍に参加し、3000キロにもわたる転戦で国民党軍と闘ったのでした。 

たった10歳の女の子が戦争に翻弄されながら、そのような壮絶な人生を歩いてきたことに心底驚くとともに、思わず目頭が熱くなりました。 

戦後しばらくしてようやく日本への帰国が叶ったものの、残留孤児の皆さんは日本国籍も与えられず、特別な中国人として差別され、厳しい生活を余儀なくされましたが、日本人としての国籍取得と政府による生活補償を求めて裁判を闘い抜き、見事にその地位を勝ち取ったのです。 

この女性もそのような運動に力を注ぎ、口では現わせない苦労を味わいながらも、結婚して家庭を持ち、今では平穏な生活を送っているということでしたが、そのインタビューの最後に語られた言葉が、私の胸を抉りました。
 

『人生 苦労は先に、幸せは後で、という思いで毎日必死に生きてきました』

 どんな偉人の遺した言葉よりも心に刺さりました。
自分はいつも幸せばかり求め、そのために必要な努力をきちんとしているだろうか・・・。
 

皆さんの『感動の一言』は何でしょうか?

是非稽古の際にでも教えてください。

 

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