『働き方改革の前』の前に『暮らし方変革』を

館長  藤本 恵祐

 2019年9月10日


秋の気配がだんだん漂ってきました。皆さんお元気でお過ごしでしょうか?

会社員を辞めて茅ケ崎市議会議員になり、あっと言う間に4ヵ月が過ぎました。
議員としてはまだまだ合格点の活躍が出来ていないと思いますが、焦らずに少しずつ「出力」を上げて行きます。(現在滑走路を離陸中)
 

さて、世の中は「働き方改革」ブームです。誰が考えた言葉か知りませんが、日本人って、本当にワンフレーズの運動論には弱いですね。

このテーマを考えるに際し、私は大切な何かを忘れてしまっているような気がしてなりません。それは、そもそも「何のために働くのか」という問いかけです。

 シンプルに言えば、大半の方々は、「暮らし」を成り立たせるため、もっと有り体に言えば、「生計を維持する」ために働いているのだと思います。

もちろん、自己実現のために働くという側面もあるでしょうが、それはあくまで働くことの結果、或いは副次的な成果ではないでしょうか。 

そうだとすれば、自分の「暮らし」を豊かにするための「働き方改革」でなければそもそも意味が無いですね。なのに、そのことにはあまりマスコミも政治家も焦点を当てようとはしません。
思考の順序を間違えてはいないでしょうか。

日本はこれまで著しい経済成長を遂げてきました。先の大戦に負けたことからすれば、奇跡に近いことかも知れません。それもこれも、人口が順調に増え、産業が急速に発展した結果だと言えます。

 しかし、皆さんご存知の通り、今日本は先進国でも例を見ない、急速な少子高齢化と人口減少トレンドに突入しています。2100年には人口が5000万人を切る(幕末の頃の人口)という予測もあるくらいです。平均寿命が90歳に近づき、今の子供たちは恐らく大半がその2100年に生きていると思われます。
それだけ、これから数十年は、今まで経験したことのない形で日本社会が激変する訳ですが、にも関わらず、いまだに私たちは「成長、成長」の掛け声に振り回わされていないでしょうか。
 

確かに、日本の人口減少を尻目に、世界ではアフリカ圏を中心に急速な人口増加のトレンドにあって、中国やインドの経済成長も目を見張るものがあります。

でも、私たち日本人は、世界の動向を見据えつつも、しっかりと自分たちの足元を見つめ直し、「日本人としての豊かな暮らし方」とは何かを真剣に模索する、つまり「働き方改革」の前に「暮らし方変革」について考え具体的に行動する大切な時機を迎えたことに気づくべきだと思います。 

全国24時間・365日営業のコンビニ、24時間対応の通販コールセンター、電車の深夜運行、宅配の当日配送・・・・。これは、人口減少が避けられないこれからの日本社会にとっても、果たして本当に必要なサービスなのでしょうか?

平均寿命が伸びているのも、実は医療技術や薬の進化によるところが大きいと言われますが、果たして高齢になり、薬漬けで晩年を過ごす状態が人間にとって幸せと言えるでしょうか?更には、既に破綻に近い社会保障制度を、このままいつまで騙し騙し維持し続けるのでしょうか? 

私は、日本人はここらで勇気を持って一旦立ち止まり、先ずは自分たちにとってのあるべき生き方を再定義し、その理想の生き方を実現するための「働き方改革」を進めるべきだと考えます。 

皆さんも是非一度、会社や道場の仲間、或いはご家族でこの議論をして頂きたいと思います。そこからきっと、新しい何かが見えてくると思います。

 

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