第306回湘南コラム「故・玉代勢勝次先生を偲んで(追悼メッセージ)」
去る7月29日(木)、沖縄上地流唐手道協会・前会長の玉代勢勝次先生が急逝されました。ご存命中の斯道普及への多大なるご功績に心から敬意を表し、謹んでお悔やみを申し上げたいと思います。
今回は、先生と私の出会いから今日までのエピソードなどを少々ご紹介しながら、追悼のメッセージに代えたいと思います。
先生と私の出会いは今から約30年前まで遡ります。仕事で沖縄を訪ねた折にご自宅兼道場(宜野湾市)にお邪魔し、同じ会社の先輩・後輩という関係も相俟って、泡盛を酌み交わしながら夜通し歓談しました。
ほどなく先生と同じ協会に加盟が叶い(旧八王子道場、藤沢道場)、爾来今日まで大変親しくお付き合い頂きましたことは、多くの会員の皆さまもご承知の通りです。
先生は上地流二代目・上地完英先生に若い頃から師事され、スポーツ化した空手とは一線を画し、ひたすら武術としての上地流の鍛錬精進に励まれ、海外への指導にも熱心に取り組まれました。
指先や足先、小手などの徹底的な鍛錬は、セミナーなどを通じて多くの関係者が知るところです。
個人的に一番印象強い思い出は、初代・上地完文先生の足跡を辿って、一緒に中国福建省を訪ねた時でしょうか。
朗らかで豪放磊落な性格は私達を惹き付けて止まず、懇親会の折りなどは、いつもニコニコ笑顔で三線の弾き語りを楽しんでおられたことを思い出します。
そんな先生も、今から約10年前に現在の協会を立ち上げる際、終始我々東京本部のスタンスをご理解ご支持頂き、共に棘の道を歩まれたことには、心から感謝しております。
2025年に予定していた「上地流創流100周年記念イベント」を誰よりも楽しみにしておられたのに、突然で余りにも早いご逝去に私は只々混乱し、未だ自身を納得させる言葉が見つかりません。
先生の私たちに対する御恩に報いる道はただ一つ。今までの貴重なご指導を胸に刻み、一人ひとりが上地流唐手の修行に邁進し、己の道を極めることしかありません。
最後になりましたが、先生のご冥福を心からお祈りしたいと思います。
どうかこれからも天国で上地流唐手の修行に励み、泡盛と三線で穏やかな時を過ごされますように。 合掌
館長・藤本恵祐