第300回湘南コラム「湘南修武館・設立25周年と唐手修行40周年に寄せて」

「湘南修武館・設立25周年と唐手修行40周年に寄せて」 館長 藤本恵祐

新型コロナウィルス感染拡大防止のため、残念ながら記念事業は中止となりましたが、本年は東京本部と湘南修武館の設立25周年に当たる節目の年です。
会員の皆さんには、記念のトートバックが届いたかと思いますが、せっかくの機会なので、今回少しだけ湘南修武館の歴史をご紹介しておきます。

1995年8月に、藤沢市内の「藤沢市民の家」で、アメリカから修行にやってきたドナルド・ハナン指導員と二人で稽古を始めたのが湘南修武館(藤沢教室)の始まりです。

ほどなく高校生が1名入会し3人だけで稽古していましたが、やがて藤沢青少年会館(当時は藤沢市民会館の近くにありました)に場所を移し、私の息子を皮切りに、近所の子供会員が続々と入会してきました。(当初は数名の教室をイメージしていたので想定外でした)

数年後に青少年会館が現在の場所に移転し、「藤沢道場」に名称を変更して今日に至ります。当時、新聞にドナルド青年の活躍が紹介され、「沖縄空手」のワードも響いたのか、あれよあれよと言う間に会員が100名を超え、稽古(当時は1クラス)の時はエレベータの前まで人がはみ出すくらい盛況だったことを懐かしく思い出します。

その頃は、私が学生時代に通った八王子の道場がまだ活動していましたので(今は取り壊されて跡形もありません)、ほぼ毎週土曜日の夜、藤沢道場の稽古が終わってから車や電車で八王子にも指導に出向いていました。我ながらよくやったものです(笑)

その後藤沢市の村岡公民館に水曜クラスを開設したり(現在の鵠沼道場に発展)、引っ越し先の茅ヶ崎市内でもクラスを開設したり(現在の茅ケ崎道場~2004年)しながら段々と拠点が増えて行き、今日の湘南修武館に発展を遂げました。

個人的には大学入学(1980年)と同時に当時の八王子道場に入門したので、今年で修行40周年となります。こちらも、よくぞ続いてきたなと自分でも感心しています(笑)

本業サラリーマンだった私が、皆さんと共になぜここまで活動を続けてきたのか、正直わかりません。強いて言えば、「上地流唐手の虜になってしまったから」としか表現できません。それだけ、この武術が私にとってあらゆるものを突き抜けて魅力的だったのでしょう。

25年の間には楽しいことばかりではなく、組織の分裂や指導者の離脱など、幾多の辛く悲しい出来事もありました。しかし、それもこれも全てが私たち湘南修武館の歩みです。黙々と稽古を重ね、清々粛々とイベントをこなす・・・。「静かに行く者は遠くまで行く」の諺通り、 湘南修武館は着実にその歴史を重ねてきた訳です。

さて、5年後の2025年には設立30周年の大きな節目を迎える計算になりますが、奇しくもその年は、上地流が和歌山で産声をあげてちょう ど100年となる記念すべきタイミングでもあります。

皆さんと共に元気でその時を迎え、世界の上地流の仲間を日本にお招きしてビッグイベントを開催することが私の目下の夢です。そして、そのタイミングでこの湘南修武館を後進の皆さんに託し、自分自身はまた新しい修行の道を見つけて、ゆっくり歩んで行きたいと考えています。

「人生と修行にゴール無し」
それが私の揺るがぬ信条でもあります。